|はじめに|
 ブラックホールだとかウラシマ効果といった言葉が,わりと一般的に使われるようになってきている.だけど,相対論的な現象というのは,言葉や式だけで説明されてもイマイチぴんとこないことが多い.やはり百聞は一見にしかず,絵や色や動きによる視覚化だ!この本は,そのような相対論的不思議ワールドをディスプレイ上で視覚化してみようという試みの一つだと思って欲しい.
 本書では,とくにブラックホールのまわりで起こる現象を取り上げ,空間の歪みだとか時間の遅れといった基礎的なものから,近日点の移動や光線の彎曲,重力レンズ,さらには降着円盤など,応用的なものまで,いくつかのテーマを選んだ.そしてそれぞれのテーマについて,簡単に解説し,またそのテーマを視覚化するプログラムとその実行例を載せた.
 全体は9つの章からなっている.各章の恒星は,おおむね,@その章のテーマに関して,用語その他の簡単な導入部;A相対論的な概念・原理の簡単な説明(どうしても式が出てくるが)や数値計算に関する注意など;Bプログラムの動作と実行例;C応用,SF的おまけ,コメント;Dプログラムリストと設定値の変更などの説明にわかれている.
 これから一般相対論を学ぼうとする人たち,一般相対論的天体現象に興味のある人たち,パソコンが好きな人たち,さらには高校や大学において物理や天文学を教えている人たちに,本書を活用してもらえば幸いである.またもちろん,SFやSFアニメの好きな人にも本書を手に取っていただければ,筆者も喚起にたえないだろう.若干お勉強臭く書いている部分もあるが,うっとうしければそこらへんはとりあえず飛ばしてもらって,結果だけでも眺めて欲しい.できるだけ多くの人に,単純に楽しんでもらえればそれが一番いい.
筆者
 
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